体験名:奇祭「水祝儀」体験
県名:福島県
エリア名:いわき市平沼ノ内地区

初婿に水をかけ、無病息災などを祈願

400年以上も前から伝わる伝統行事「沼ノ内の水祝儀」。別名「水かけまつり」とも呼ばれ、いわき市無形民俗文化財に指定されています。まつりの内容は、地区に暮らすその年の初婿が浴衣1枚となり、3回水をかけられ無病息災・豊漁と安全・豊作を祈願するというもの。かつては、旧暦の1月15日に行われていましたが、現在は成人の日に実施されています。初婿がいないときは行われないこともあるそうです。

火災を防ぐ神様と関係がある水祝儀

沼ノ内の水祝儀が行われるのは、火災を防ぐ神様を祀る愛宕将軍地蔵尊の前。コンクリートや鉄筋で作られた建物が多い昨今と違い、昔は燃えやすい素材で家屋などが作られていたため、愛宕信仰の場で水祝儀が行われるようになったそうです。この水祝儀、昔は関東・東北地方で盛んに行われていたそうですが、時代の変化とともに少しずつなくなっていったそう。今では、日本国内でも珍しいお祭りとなっています。

 

 

 

魔除けを意味する大根で作った判を額に

 

水祝儀の前に、「墨祝儀」というものが愛宕神社の本殿内で行われます。祝いの場で唄うわる「高砂」や「磐城めでた」を全員でふしをつけてうたい、その後「ダイコンバン」を額に押します。これは、大根で作った印に墨をつけて押すというもので、魔除けの印ともいわれています。ダイコンバンを押したら、いよいよ水祝儀が始まります。極寒の中での水かけは、想像しただけでも身震いします。

水をかける「桶取り」が会場を盛り上げます

砂を敷き、しめ縄をかけた水かけ場で、浴衣一枚の初婿さんが待っています。「桶取り」と呼ばれる地区の青年団から選ばれた未婚の男性4人が、井戸からくんできた水を桶で運びます。桶取りが水かけ場の四方にそろうと、初婿への水かけが行われます。しかし、桶取りが水をこぼしてしまったり、お客さんに水をかけたりと、いろいろじらすためになかなかそろいませんが、見物客はおおいに盛り上がります。

初婿に3回水をかけて水祝儀は終了

初婿への水かけは3回行われます。1回目は腰から下に、2回目は胸から下に、3回目は頭から水をかけます。無事、水祝儀が終わると、見物客たちは水かけ場にある短冊のついた竹を奪い合います。地元の人たちは、これを家の神棚に供えるそうです。とにかく寒い中で行われるため、見物の際も防寒は必須です。また、桶取りに水をかけられることもあるので、濡れてもよいレインコートやタオルも忘れずに。

奇祭「水祝儀」体験
開催日 毎年成人の日(1月)
開催場所 愛宕将軍 地蔵尊堂(いわき市平沼ノ内新街35)
電話番号 0246-22-7546(いわき市役所 文化振興課文化財係)
料金 無料
アクセス JRいわき駅からバスで約20分
URL  http://kankou-iwaki.or.jp/