祭り・イベント名:チャグチャグ馬コ
県名:岩手県
エリア名:盛岡市、滝沢市

華やかに着飾った馬が鈴を鳴らして街を歩く

チャグ、チャグ、チャグ、チャグ…。鈴の音を鳴らしながら、色とりどりの装飾をした100頭近くの農耕馬たちがゆっくりと歩いていく様子は、岩手県中央の初夏の風物詩。盛岡市の隣、滝沢市の鬼越蒼前神社から盛岡市内の神社、盛岡八幡宮までの約14㎞を行進します。古くから馬の産地として知られる岩手では、馬が人々の生活と密着していました。その馬を大切にする気持ちから生まれた「チャグチャグ馬コ」は、毎年6月の第2土曜に行われる世界的にも珍しい祭りで、文化庁から、記録作成等の位置を講ずべき無形の民俗文化財に選ばれています。

はじまりは、農耕馬の無病息災祈願

岩手県では、田畑を耕し、荷物を運び、人々の暮らしを支えてくれる農耕馬の無病息災を願って馬の守り神がいる神社へお参りする風習がありました。その際、きれいに着飾った馬を引くのが流行し、チャグチャグ馬コが始まったといわれています。第二次世界大戦末期から戦後はしばらく中断されていましたが、有志の人々により復活。地域で長く愛されてきた伝統を守っていこうと保存会も結成され、現在では世界中から多くの観光客が見学に訪れます。

馬たちの鮮やかな装束は昔ながらの手作り

農耕馬たちの色鮮やかな装束とたくさんの鈴の音が、チャグチャグ馬コの魅力。鈴は1頭あたり約700個も付いており、この音は「日本の音風景100選」にも選ばれています。美しい装束は、昔の殿様が公用のために随員を従えて行列をする際、馬につけられた「小荷田装束」が原型といわれています。現在は、馬の汗に強い良質の麻を使い、この地域ならではの染料を用いた草木染めなどを施し、昔ながらの手作りで仕上げられています。装束の総重量は約60㎏もあり、数人がかりで馬への着付けが行われます。

人馬一体の住空間、南部曲り家

かつて岩手の人々と農耕馬がどれだけ深い絆で結ばれていたかよく分かるのが、「南部曲り家」という建造物。曲り家は、土間を隔てて居間と厩が続いているL字型の構造で、ひとつ屋根の下で人と馬が寝起きを共にするという住空間です。馬も家族の一員として生活に溶け込んでいたと考えられます。土間からも居間からも馬の様子が分かるようになっており、馬の健康管理のために必ず窓も設けられていました。チャグチャグ馬コの出発地である滝沢市の大沢地区に、今も馬と人が同居する南部曲り家・藤倉邸があります。

鮮やかな彩色と飾りがついた馬コの玩具

チャグチャグ馬コにちなんで作られた民芸品の一つが「チャグチャグ馬コ玩具」。戦後、近郊に暮らす人々が作りはじめ、今でも一つひとつ手作りで作られています。木彫りの馬に彩色を施し、本物のように飾りを着けたもので、とても愛らしい姿をしています。本物のように、チャグ、チャグと響くかわいい鈴もついています。縁起物として贈り物などに選ばれることも。手のひらにのるサイズから大きなものまでいろいろあり、みやげ物としても人気です。

祭りイベント名 チャグチャグ馬コ
開催日時 6月の第2土曜、9:30出発
開催場所 滝沢市~盛岡市
電話番号 019-613-8391(盛岡市商工観光部観光交流課)
アクセス JR盛岡駅からシャトルバスで35分、鬼越蒼前神社下車、徒歩すぐ
URL http://www.city.morioka.iwate.jp/kankou/kankou/umako/1007961.html(盛岡市)
http://www.city.takizawa.iwate.jp/01chag(滝沢市)