施設名:楢岡陶苑
県名:秋田県
エリア名:大仙市

北国で焼かれる群青色の鮮やかな陶器

秋田県内陸部にある大仙市の郊外、のどかな山々に囲まれた場所に、楢岡焼の工房である「楢岡陶苑」はあります。その始まりは江戸末期、今から150年以上前のこと。地元で採れる粘土を使って陶器を作り始めましたが、最初はなかなかうまくいきませんでした。乾燥時にひびが入ったり、焼くと変形したりと、思うような焼き物が焼けません。試行錯誤を繰り返しようやく対処法を見つけ、製品作りが軌道にのり始めた頃、国内の交通網の整備が進んだことで安価な器が出回るようになり、楢岡焼も大きな打撃を受けます。次第に窯元は減り、現在まで残った楢岡焼の窯元は楢岡陶苑1軒だけになってしまいました。

人々の暮らしに密着した焼き物を作り続けた楢岡焼

楢岡焼は、秋田県内で最も長い歴史を持つ焼き物です。楢岡焼以前に始まった窯元もいくつかありましたが、現存している窯は残念ながらありません。時代とともに作る焼き物を柔軟に変えていき、特に昭和初期、技術改良を重ねて美しい青い輝きを持つ焼き物を完成させたことが、楢岡焼が今日まで長く続いた要因のひとつかもしれません。

青さが際立つ海鼠釉(なまこゆう)は、釉薬中に複雑な乳濁現象が起きることで流紋や斑紋が生まれます。その一部が海の生き物のナマコに似ていることから、いつしか海鼠釉と呼ばれるようになりました。

現在でも登り窯を使って焼くことがある稀少な窯元

現在、多くの窯元では電気窯やガス窯を使って焼いています。しかし、楢岡焼では、ガス窯も使うものの、4部屋からなる登り窯も使って焼き物を作っています。
登り窯は「薪窯」の代表的な窯で、数千年の歴史の中で改良が重ねられてきました。ただ、大量の薪を使うことと、火が安定せず製品のロスが多いことなどから、だんだんと使う窯元が減ってきています。それでも登り窯でなければ出せない独特の風合いもあり、楢岡焼ではその伝統を大切に守ってきました。

窯元ならではの多彩な品ぞろえ。伝統の海鼠釉の楢岡焼をおみやげに

楢岡陶苑では、海鼠釉の美しい青に彩られた、さまざまな楢岡焼の製品を販売しています。ぐい呑みや茶碗、コーヒーカップなどの普段使いできる小物から、すり鉢や大皿、瓶などの大物まで多くの製品をラインナップ。
また、予約制で陶芸体験も行なっています。秋田県にしかない楢岡焼の工房で、気軽に陶芸体験を楽しみながら、歴史ある焼き物の世界にふれてみましょう。

施設名 楢岡陶苑
所在地 秋田県大仙市南外字梨木田344-1
電話番号  0187-73-1018
開館時間 9:00~17:00
休業日 第2・4火曜
料金 陶芸体験は1人2500円~(1人の場合3000円)送料別。1週間以上前に要予約
アクセス 秋田自動車道大曲ICから車で10分
URL http://www.naraokayaki.jp/