世界に評価される絨毯を生み出す手織り職人・斎藤清子さん

女性職人の技術が光る、オリエンタルカーペットの絨毯

豊かな自然に抱かれた山形県山辺町。繊維産業と織物が盛んなこの街に、世界から注目を集める絨毯メーカー「オリエンタルカーペット」はあります。皇居新宮殿、アメリカ合衆国大使館、バチカン宮殿など、納入先は著名な場所ばかり。そんな世界に認められる絨毯を手掛けているのは、オリエンタルカーペットで働く約40人の女性職人です。

オリエンタルカーペットでは、糸を紡ぐところから始まり、染め、織り、毛に艶を与える「マーセライズ」という独自の仕上げ加工にいたるまで、絨毯づくりの全工程を自社管理で行なっています。要となる織りの工程には、「手織り」と「手刺し」の二つがあり、特に手織りは熟練の技術が必要になります。現在手織りを行なっている職人は5名。その一人が斎藤清子さんです。高校卒業と同時に入社し、40年以上もの間、オリエンタルカーペットが手掛ける絨毯の品質を支え続けています。

日々の積み重ねで、最高峰と呼ばれる絨毯に仕上げる

手織りの工程では、一枚の絨毯の製作を職人一人が担当。色柄が指定された設計図を縦糸越しに見ながらパイル(毛糸)を結び、横糸を通し、密度が一定になるようパーズという金属板で叩く…、といった作業を繰り返します。「一人で黙々と織るのが好き。自分のペースで進めています」と、さらりと話す斎藤さんですが、ベテランの職人でも一日に7㎝程しか織り進まないのだそう。糸を正確に操る技術はもちろん、根気も要します。織りあがってからも、絨毯の図柄に奥行きを出すための立体カット「カービング」や、つや出し加工「マーセライズ」と作業が続き、ようやく一枚の絨毯が完成します。玄関マットのサイズでも、完成までには約2か月かかるのだとか。職人たちの高い技術と日々の積み重ねが、最高峰といわれる絨毯をつくり出しているのです。

オリエンタルカーペットでは工場見学も行なっており、展示している絨毯にさわることもできます。「手織りの絨毯は100年以上使えるんですよ。しっかりとした材質や色合いを保ちながら長持ちするのが魅力です」と話す斎藤さん。実際に完成した絨毯を見させていただくと、図柄の美しさや繊細さ、手ざわりの良さに感動を覚えました。世界に評価されるオリエンタルカーペットの絨毯、その魅力をぜひご自身で確かめてみてください。